個人事業主向けクラウド型会計ソフトの代表格でもある『マネーフォワードクラウド確定申告』と『やよいの青色申告オンライン』。
どちらにしようか迷っているあなたのために、ここでは2つのソフトの気になる料金やサービスの違いについて徹底的に比べたいと思います。
利用料金について
『マネーフォワードクラウド確定申告』
- 年間の仕訳数が50件までであれば、無料で利用できるフリープラン
- 電話サポート以外のサービスが受けられるベーシックプラン 月額800円(税抜) 年額8,800円(税抜)
- 電話サポートもついたベーシックプラン 年額17,200円(税抜)
引用元:㈱マネーフォワード
『やよいの青色申告オンライン』
- サポートサービスはついていないが、基本的な機能を1年間無料で利用できるセルフプラン 翌年からは 年額8,000円(税抜)
- 全てのサポートサービスが受けられるベーシックプラン 初年度 年額6,000円(税抜) 翌年からは 年額12,000円(税抜)
引用元:弥生㈱
『マネーフォワードクラウド確定申告』は電話サポートなしのベーシックプランであれば月単位での契約と支払ができますが、『やよいの青色申告オンライン』はプランに関わらず年単位です。
その代わり、『やよいの青色申告オンライン』は初年度は安く利用できるキャンペーンが実施されています。
ちなみに、会計ソフトを複数のユーザーで権限を設定して利用したい場合には、『マネーフォワードクラウド確定申告』がベストです。
『マネーフォワードクラウド確定申告』であれば、ユーザーを何人追加しても料金はかからないんです。
『やよいの青色申告オンライン』だと、ユーザーを追加した人数分の利用料金が さらにかかります。(年額利用料金×ユーザー数)
セルフプランの契約で3人が利用すると、年額8,000円×3人=年間24,000円もかかってしまいます。
サポートサービスについて
『マネーフォワードクラウド確定申告』
- 年額無料のフリープラン --- メール
- 年額8,800円(月額800円)のベーシックプラン --- メール+チャット
- 年額17,200円のベーシックプラン --- メール+チャット+電話
『やよいの青色申告オンライン』
- 年額8,000円のセルフプラン --- なし
- 年額12,000円のベーシックプラン --- メール+チャット+電話
利用料金に対するサポート体制としては、
電話サポートまであったほうがいい場合には『やよいの青色申告オンライン』
メールやチャットサポートがあれば十分という場合には『マネーフォワードクラウド確定申告』ですね。
『やよいの青色申告オンライン』のベーシックプランでは、オペレーターと画面共有して疑問を解決できるサービスも設けてますけど、
個人的には、それよりもセルフプランでメールサポートをして欲しいですかね。
もちろんサポートサービスがないといっても、ユーザーガイドやよくあるFAQなどといった一般的な解説は用意されてるんですけど、
初めて会計ソフトを利用するなら特に、そこには載っていないようなことで知りたいことが出てくるものですよね。
実際に、私も使っている中でFAQでは解決できずに聞きたいことが出てきました。
あなたが、初めて使う会計ソフトに『やよいの青色申告オンライン』を選ぶんだとしたら、最初の一年だけでもベーシックプランに
したほうがいいでしょう。初年度であれば、半額の年額6,000円で利用できますし。
機能・使いやすさについて
実際に2つの会計ソフトを使ってみた印象としては、
仕訳を入力するには『やよいの青色申告オンライン』のほうが初心者に優しい
そのほか部分では『マネーフォワードクラウド確定申告』のほうが使いやすい
という感じです。
個別の項目をみてみましょう。
仕訳入力
『やよいの青色申告オンライン』の仕訳入力画面には、勘定科目の補助説明や、この取引ではこういう仕訳になるという取引例があって、
簿記の知識がなくても処理できるような工夫がされています。
一方で『マネーフォワードクラウド確定申告』は、FAQの中に仕訳ガイドとして勘定科目の説明やいろんな取引例をあげて仕訳の仕方を説明してくれてはいます。
ただ、仕訳の入力画面ではそういった細かい説明がないので、仕訳に慣れていないと戸惑うかもしれませんね。
仕訳の方法として初心者にも分かりやすいように工夫した「簡単入力」もありますが、あまり初心者への手助けは期待できません。
基本的に簿記の知識が必要な「振替伝票入力」を使う前提になっているので、初心者は使いこなすのに時間がかかりそうです。
データの抽出・出力・設定など
『マネーフォワードクラウド確定申告』のほうができることが多いです。
データをいろんな条件で抽出できたり、PDFだけでなくCSVでもエクスポートできます。
インポートも、仕訳帳形式だけでなく総勘定元帳形式、現金出納帳形式、補助元帳形式といったいろいろなフォーマットを使って行うことができます。
また、自分のタイミングで家事按分(※1)の仕訳ができるので、プライベートで使った分を差し引いた後の事業の経費や利益をいつでも把握することができます。
『やよいの青色申告オンライン』だと、確定申告の書類を作成するまで家事按分の設定ができません。
※1 自宅兼事務所の場合、光熱費や家賃のように事業とプライベートの両方で使っている費用について、事業で使っている割合を設定しプライベート分を差し引くこと
処理速度
『やよいの青色申告オンライン』より『マネーフォワードクラウド確定申告』のほうがサクサク画面の切り替えがされ、ストレスが少ないと思います。
特に、『やよいの青色申告オンライン』の「スマート取引取込」の画面は重く感じました。
パソコンのスペックやネット回線などの設備、仕訳のデータ量でも変わってくるんでしょうけど。
ちなみに、私は下図のPCと光回線を使って、300件ほどの仕訳を登録してみました。
レシートの画像取込みによる仕訳作成
『マネーフォワードクラウド確定申告』の場合、レシートを撮影して仕訳と連動させるためには、個人向けの家計簿アプリ「マネーフォワードME」を利用する必要があります。
その場合でも、撮影したレシートの画像は資料を作るための元ネタになるだけで画像としては残りません。
一方、『やよいの青色申告オンライン』では2つの方法があります。
スキャナーやカメラなどを使って画像ファイルやPDFにしたものを直接「スキャンデータ取込」から取り込むか、
スマホに『弥生レシート取込』アプリをインストールしてスマホで撮影したデータを「スキャンデータ取込」から取り込みます。
この場合、レシートの画像データは資料として仕訳データに添付されます。
ちなみに、レシート撮影のアプリとしては、『弥生レシート取込』よりも「マネーフォワードME」のほうが解析の精度も速度もよく感じました。
あと、「マネーフォワードME」は、写真を一枚にはおさめられないような長いレシートにも対応しています。
スマホやタブレットでの使用
『マネーフォワードクラウド確定申告』の場合、スマホやタブレットでもインターネットが繋がる状況下でブラウザを通してであれば、パソコンと同様の利用が可能です。
スマホアプリとして『マネーフォワードクラウド会計・確定申告分析』アプリもありますが、銀行残高や資金繰り、損益分析などといったごく一部の機能だけで、仕訳の入力はできませんし、帳票関係の細かいデータを見ることもできません。
仕訳の入力であれば、個人向けの家計簿アプリ「マネーフォワード」を利用して、それ以外の利用であれば、画面が小さくて多少操作しづらい部分もありますが、スマホの場合であってもパソコン同様にブラウザを通して利用したほうがいいですね。
一方、『やよいの青色申告オンライン』は、スマホではブラウザを通して利用することができません。
スマホで利用するには別で『やよいの青色申告/白色申告オンライン』アプリをインストールする必要があります。
ただし、このアプリをインストールしても、仕訳の入力や取引一覧の閲覧などといったごく限られた機能しか使うことができません。
外出先の合間でレシートの処理などをしたい場合だけ利用するといった形になりますね。
利用者数・シェア
個人事業主に対するシェアとしては、『やよいの青色申告オンライン』が圧倒的に勝っています。
それは、㈱MM総研が2018年4月に発表した調査結果で明らかになりました。
下図をみると、個人事業主でクラウド型の会計ソフトを使っている人の半数以上を占めています。
引用元:㈱MM総研
比較してみて、あなたに適した会計ソフトはどっち?
トータル的に見ると、『マネーフォワードクラウド確定申告』が一歩リードしている印象を受けます。
とはいっても、あなたが何を重視するかによっても違ってくると思うので、それぞれの会計ソフトに向いてる人がどんな人かを見ていきましょう。
『やよいの青色申告オンライン』が向いてる人
- 弥生シリーズを使っていた人
- 電話サポートを利用したい人
- 仕訳入力が初心者に優しい会計ソフトを使いたい人
- 利用者数やシェアを重視する人
『マネーフォワードクラウド確定申告』が向いてる人
- メールやチャットサポートがあれば十分な人
- 会計ソフトを複数のユーザーで利用したい人
- 家計簿アプリ「マネーフォワードME」を利用してる人
- 処理速度の速さを求める人
- 機能としてできることが多い会計ソフトを希望する人
これらを参考にして、あなたも自分に合った会計ソフトを見つけてくださいね。